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家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく - 朝日新聞社

Kさんご夫婦(40代)
東京都大田区/築35年/58.76㎡/総工費約900万円

    ◇

ともに食関係のお仕事をしているKさんご夫婦。好きな仕事ではあるけれど、「朝早い」などハードな面があるので、家ではできるだけリラックスして過ごしたいと考えたそうです。

お二人の希望のひとつが、ゴロゴロできる小上がりが欲しいということ。リビングの一角の窓のそばに、眺めのいい小上がりを作りました。窓と小上がりの間のスペースは大谷石を敷いたインナーテラスに。細長いスペースがまるで縁側のようにも見え、グリーンを置いて楽しんでいます。

家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

他にも、丸いテーブルと椅子が置かれたダイニングのスペース、小ぶりなソファを置いたコーナーなど、家中にリラックスできる場所を作りました。その日の気分に合わせ、場所をセレクトしてのんびりしているようです。
スペース以外にも、夜早めの時間でも明るさを落としてくつろげるように、照明には調光の機能をつけました。

小上がりを作ったもう一つの理由は、仕事柄、気を配っている体調管理のためでもあります。お二人は毎日検温をしているそうですが、もし、どちらかが体調が悪いときは寝室で一緒に寝ないようにし、小上がりがもう一つの寝室になる予定です。

家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

傾斜のついた天井と窓が屋根裏部屋のような雰囲気に。Kさんお手製の家具たちが所々に置いてある

そんなお二人のこだわりのキッチンは、コンパクトだけど実用的。ガスコンロは火力の強いもの、レンジフードは高機能なものなど、まるで厨房(ちゅうぼう)のようになりました。

食関係のお仕事をしている方の中には、家では料理をしませんとおっしゃる方もいますが、お二人は料理をしたい派。一緒にキッチンに立つこともあるそうで、通路はお互いにすれ違うことができる幅にしました。シンク上の棚は、実際に厨房で使われているプロ仕様のもので、使いやすい高さを検証して取りつけました。

家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

キッチンに併設したパントリーはお二人の希望です。バックヤードとして調理道具、食材、料理本などを収納でき、キッチンはスッキリ。パントリーの入り口は玄関直通の廊下側、キッチン側と二つあり、廊下側の入り口は、買い物した荷物をさっとしまえる動線が便利です。キッチン側の入り口は、2人で料理をしているときにぶつからないよう、退避場所にもなっています。

インテリアは、お二人が好きな北欧と日本のテイストをバランスよく取り入れました。“屋根裏部屋”の小さな木製ベンチ、オーディオ機器を入れる木製キャビネットなどはKさんがDIY。食器棚はD&DEPARTMENTでセミオーダーして、好きな食器を並べました。中には、Kさんの叔母さんが作った食器もあるとか。家全体は、茶と白の落ち着いたトーンですが、所々にグリーンの家具や小物を配置してインテリアのアクセントにしました。

家は仕事場ではありませんが、仕事を支える大切な場所。しっかり仕事をすることと家でゆっくりくつろぐことは、いい循環になっているようです。

家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

Kさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

Q1 一番気に入っている場所はどこですか?

夫:インナーテラスです。広い面積ではありませんが、少しだけ違う質感のものが入っていると、雰囲気がいいですね。

妻:パントリーです。気に入っているものをしまい込まず、いつも見えているところがいいですね。スツールを置いて料理本を座って読み、すぐ料理に取りかかれます。今まで住んでいた場所にはない空間です。

家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

玄関直通の廊下からパントリーヘの入り口(左)。キッチンからパントリーへの入り口はアーチ型に(右)

Q2 リノベーションのプロセスで楽しかったところは?

夫:ショールームに行ったこと。今まで知らなかった世界に関われました。設計を一緒に行いましたが、家具などを具体的にどう配置するかを考えるのが楽しかったです。

妻:知らないこと、やったことがないことが多くて楽しかったです。一つひとつ決めていくときに、自分で勉強したり、プロと相談したり、少しずつ進んで行くことに充実感がありました。

2人:自分たちがどんなものが好きで、何がいいかを言語化することによって、お互いのことを確認できました。好きなものが似ていることも、違うこともありました。木や自然が好きなことは、2人の中で共通していました。

Q3 プロセスで大変なことはありましたか?

夫:予算に上限があるので、希望をたくさん言った後、どこを削るかを決めるのが難しかったです。

妻:2人とも仕事の繁忙期に重なったので、時間の割り振りが大変でした。引っ越したことを職場の人に話したら、びっくりされました。

(構成・文 大橋史子)

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    PROFILE

    石井健

    「ブルースタジオ」執行役員
    1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
    ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
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