あなたの会社はテレワークを頑張っていますか?(写真:metamorworks/iStock)
新型コロナウイルスの影響で「在宅テレワーク」を導入する企業が増えた。しかし、セキュリティー、オペレーション、コストなどさまざまな問題が立ちはだかり、テレワークをうまく実現できない企業が多いのも現実だ。「セキュアで働きやすい持続可能なテレワーク環境」は、一体どうやったら作れるのか?
テレワークの現場をよく知るスピーカー5人を招いて、5月7日に開いたウェブセミナー「今取り組むべき在宅テレワークの『進め方』と『解決策』とは?」(主催:ドコデモ、共催:KaleSco.)で繰り広げられた議論を一部紹介する。(イベントのモデレーターは西舘 聖哉氏:KaleSco.代表)
「働き方改革」が進まない中での緊急事態宣言
松本 国一 富士通シニアエバンジェリスト(以下、松本):昨年4月に「働き方改革関連法」が施行されました。しかし、現状は「まったく実感できない」という人たちが約7割、管理職においては、かえって仕事が増えて「改悪した」と言っている人が約6割もいるんです。
でも、この「働き方改革」を今やらないと、少子高齢化による労働力人口の減少、育児介護の問題、さらには副業や兼業をする人の増加で、日本は人材のリソースが大幅にいなくなってしまいます。
そんな中、緊急事態宣言が発令されました。オフィスで仕事ができなくなりつつあり、「デジタルへの移行」が急務となっています。
この話をすると、「いや、うちは機材や環境が整ってない」「制度が整っていない」「テレワークできる仕事じゃない」と答えられる方々が非常に多いです。
では、オフィスをそのままデジタル化すれば解決するのかというと、そうではありません。働き方を環境に対応させることが必要となります。
野崎 友邦 ミナジン取締役COO(以下、野崎): 「テレワークと勤怠の問題あるある」には、「社員が本当にちゃんと仕事をしているのか?」がとても多いですね。
松本:何もやらなくても給料がもらえる人と、やりすぎて疲弊して辞めていく人たちが出てくると、会社としてもかなり大きな課題ですね。
野崎:「勤怠管理システムに要求される事例」に
・どこにいてもスマホやPCから打刻できる
・各種申請もシステム上でできる
・勤怠データをリアルタイムで共有できる
などがあります。ここまでは普通だと思います。
でも、次から怪しくなってくるんです。
・複数のITツールを連携させてアクティビティログを収集する
・PCカメラで自動撮影された画像が数分間隔で在社メンバーと共有される
会社はこれらのデータと勤怠データを突き合わせて、「本当に仕事をしているのかどうか?」を確認するという話になります。
ドコデモのCTOは夜型なので出社時間が18時という話に爆笑する登壇者たち(写真:筆者提供)
松本:「管理職が全部チェックしなさい。それはあなたの管理責任だ」と言われちゃうと、管理職は仕事ができなくなっちゃいますね。
それをすると、管理職は「お前らを監視するためにオフィスに来なさい」としか言いようがないですから。
これは、仕事のやり方を抜本的に変えないと解決しないと思います。
テレワークに本当に切り替えられるかどうかは、「管理に対する考え方」と「現場の人たちへの権限委譲」ではないでしょうか。
野崎:会社は残業を減らしたくても、営業で「お前、成果出してないのにもう帰るのかよ」みたいな話はいまだにあります。
これは、性善説・性悪説という二分論ではないと思います。会社の風土もあります。
人事部には見えないからと言って、現場任せにするのではなく、人事部もデータを見て、何か問題がありそうなら、マネジャーを呼ぶのがいいと思います。
時間管理は、どんどんセルフマネージメントになっていくし、なっていくべきだと思います。
ホワイトカラーなのに時間で給料もらっているというのは、欧米と比べても、ちょっと独特です。本当は、そこにいちばん問題があるとわれわれも思っています。
とはいえ、「成果で評価すべき」という話だけすると、ブラック企業でサービス残業をしている人たちは減らないので、分けて考えないといけません。
テレワーク時代でも必要なアナログなもの
柘植 信英 ドコデモ代表取締役(以下、柘植):ブラック・ホワイト関係なく、優秀な人には仕事が集まる傾向がありますよね。そういう働きすぎを回避するには、ログデータは必要だと思います。
安達 徹也 Box Japan執行役員(以下、安達):僕は「いちばん必要なのはログですか?」と疑問に思っちゃいます。大事なのは、社員の顔色や話したときの反応の速さや遅さとかじゃないかなと思うわけです。
画面越しだと顔色が見づらいという問題はありますが、データよりも人と人のコミュニケーションのほうが大事だと思います。
野崎:チーム単位で見ると、安達さんのおっしゃる通りだと僕も思います。だから、本来、働すぎは勤怠の問題ではないですよね。
松本:データで難しいのは、「パソコンの前にずっと座って何かをしている」というデータが残っていても、何をやっているかがわからないということです。
例えば、ファイル名は「お客様の納入データ」でも、中身は「ギャンブルのオッズデータ」かもしれない。データは、いくらでも誤魔化しようがあります。唯一誤魔化せないのは、リアルな人だと思います。
安達:アナログとコミュニケーションと信頼関係があって、それでデータも見るぐらいにしないと間違っちゃいますよね。
僕は、6時にパチンと仕事を終えたらその後は、オンラインのビジネススクールで勉強しまくっています。
頭の中で完全に切り替わっているので、いいリフレッシュになっているんです。でもこれは、本人にしかわからなくて、傍から見たら「ずっとパソコンに向かっていて大丈夫?」と心配されますよね。
会社が作るべき「雑談の場」
安達:弊社は世間話や雑談を大事にしていて、コロナの前は、社内のカフェテリアでランチが支給され、普段仕事で関わらないような人との会話を促進していました。
ほかにも、年代も入社年次も違う3人のチームを作ってコーヒーを飲んでくるように勧めたり、1人が何でもいいから好きなテーマで1時間しゃべる場、読書会、部活を設けたりもしています。要は「飲みニケーション」に頼っていないんです。
これらは、コロナ後も、形を変えて全部オンライン上でやっています。
チームメンバーとしゃべりたい人のために、朝9時にとりあえずズームを開けて、忙しかったら来なくてもいいというものもあります。
野崎:当社もほぼフルリモートになっていますが、40代、50代を中心に「やっぱりオフィスで仕事したい」という声が上がりました。
例えば、家にいると家族からいろんな家事を頼まれるとか、子供がいることの問題とか、そうじゃない人との間に見えない溝ができるわけですね。
そこで、Slack上にTwitterみたいな誰でも覗ける個人のチャンネルを作ったんです。すると、家族に対して文句を言っていた人も、「自分だけじゃないんだな」と気づいて孤独感がなくなったり、前向きな人を見て「自分もやっていけるかも」と思ったりしたようです。
家族に「今は仕事だからこの時間は話しかけてこないで」と伝えてみたり、逆に、17〜20時は料理と一家団欒の時間として割り切って、そのかわり「20時以降は仕事をするので、話しかけないで」と伝えたりしたようです。
最初はオフィスがいいと言っていた人も、テレワークを始めて2〜3週間で、「もうなんか慣れたなぁ」「これはこれでいいな」とかなりポジティブになりました。
このオンラインチャットをどう活用するか、社員の発信が活発になるような場を作れるかが、今後すごく大事になってくると思います。
松本:日本は9時~17時の働き方でテレワークをしているので、大抵の会社が規則に「仕事中はプライベート禁止、仕事に集中すること」と書いていますよね。
「重要な会議だから犬を入れてくるな」ではなくて、犬を膝の上に乗せながら重要な会議に出てもいいと個人的には思います。
テレワーク中、家族から何か依頼をされたら、手伝う、食事を作る、洗濯をするなどが必ず起こりますから、会社はこれを機に、規則も意識も変えないといけないんです。
西舘 聖哉(以下、西舘):テレワークによって「働いた時間」ではなく「アウトプットされたもの」で評価される時代がくるかなと思います。
安達:小さなことでいいからいつもよりアウトプットや発信を多めにしたほうがいいと思います。
テレワークで危険なのは、1日中黙って仕事をしていると会社での存在が無になっちゃうということです。
でも、アウトプットして相手からフィードバックが得られれば、モチベーションも上がって成果も上がるサイクルになっていくと思います。
西舘:仕事のソリューションになるような記事を見つけたら、つねにシェアするとか、そういうことから始めるのでもいいですよね?
オフィスにいれば、黙っていても話しかけられたかもしれないけど、テレワークになると、反応を獲得しに行かなきゃいけないということですね。
松本:上司から見たら、部下がやっていることの1個1個はわからないですから、目に付くところに自分の成果をちゃんと書くということは重要ですね。
野崎:僕は、東京、大阪、福岡、ベトナムのダナンの4つの部署を担当しているのですが、以前から、コミュニケーションをスラックに集約させていました。
すると、マネジャーは、スラックを見れば、今誰と誰がどんな話をしているのか、どんな問題が起きているのかを可視化できる。
オンラインであるからこそ得られるメリット
だから、会社に行けない代用品としてのオンラインツールではなく、オンラインであるからこそ得られるメリットはすごく大きいと思います。
自己アピールやセルフプロデュース、発信には得手不得手があるので、マネジャーは、成果に寄りすぎないように、「しっかり自分も見ているよ」ということを部下に発信していくのがいいと思います。
柘植:弊社は、創業当時からテレワークをやっていますが、「成果が上がるなら、いつ働いてもいいよ」と言っています。個人にとって働きやすいなら、もうオフィスに来なくてもいいと思っています。
弊社のCTOは、夜型かつオフィスに来ないと仕事ができないタイプで、彼の出社時間は18時です。18時に出社、24時帰宅で、端から見たらブラックですけど労働時間は6時間あるかな?という感じ。
また、以前、弊社に統合失調症のような人がいましたが、オフィスには来られないけど家で働いたらめちゃくちゃ生産性が高かったということがあったんですよね。
会社は、社員に「自由な働き方」を推奨して、その人の生産性が最大化できる関数を見つけてあげること、働く環境は個人が選べることが大事だと思います。
西舘:在宅テレワークを定着させるために、やったほうがいいことや注意したいことはありますか?
柘植:2つあります。会社が「テレワークいやだよ」と言っているなら、皆さんでボイコットしましょう! 日本の労働者はみんな優しすぎる! もっと雇い主に対して厳しくいこう! と私は思います。
自己主張をして、自分の身は自分で守って、そのかわりに生産性を上げていきましょう。私はそれが正しいと思います。なので、皆さんその権利はあるんですから、甘えずにどんどん戦って主張しましょう。
もう1つは、テレワークのことがわからないなら、考える前に1回やってみたらいいんじゃないですか?ということです。
最悪、オフィスにあるパソコンやデータをUSBに入れて持って帰っていいから、小さな仕事から始めてみたらいいと思います。やってみたら何とかなるんじゃないかと思っています。
リモートワーク環境の提供は会社の責任
安達:このコロナで、社員にリモートワーク環境を提供することは、会社の責任としてやるべきだと僕は思います。
とはいえ、一気にジャンプアップできないなら、「テレワークがまったくできない」ではなく、「テレワークできるけどやりにくい」という次のステップに行く努力を会社としてしませんか?ということです。
社員は、会社が頑張ってくれているかどうかを見ましょう。「この状況でも、テレワークをやらないと言い張る会社は、本当に働き続けたい素晴らしい会社ですか?」ということをご自身で判断したほうがいい。「その点以外は素敵な会社だ」というのだったら残ればいいと思います。
野崎:当社がテレワークにスムーズに移行できたのは、クラウドのツールで業務がほぼ完結するからです。
それぞれの業務に特化したクラウドのツールがいっぱいあるので、そのメリットをぜひ感じてほしいです。初期投資額もすごく安くできるものばかりです。
1回ツールを入れちゃうと、便利すぎて前のやり方に戻れなくなるんです。すると、テレワークに対する抵抗感も、全社的に自然となくなると思います。
松本:今のオフィス環境は、ここ30年ぐらい変わっていないですよね。ここをもう1回考え直してみることが重要です。
コロナはいつ収束するのかわかりません。どこにいても仕事ができる環境を、今作ることが必要になってくると思います。
西舘:SaaSサービスの話でいうと、無料期間があるもの、1カ月数百円のもの、1アカウントから使えるものなどもありますね。いろんなものを試してみて、いいものをどんどん当てはめて働き方をアップデートできたらいいですね。
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June 25, 2020 at 09:10AM
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